琴ヶ浜のひと夏
鳴り砂調査のために琴ヶ浜で一夜を明かした
降注ぐ星空、何十年かぶりに天の川をみた
大きな時間の流れが、わたしの周りに一瞬のうちに走るのを感じる
おんぶされる程の子供の頃だった
夏の夜、庭先で父の背中から天の川を見たことを懷いだす
白銀の星の川、楽しい夏の夜であった
その性であろうか、いつも夜空を見上げるようになった
八月十六日の夜は、三日続きの盆踊りも終わって
琴ヶ浜は静かになっていた
でも、まだ盆踊りの舞台は浜に立ち
提灯の朱色の明かりが遠くに小さく揺れていた
太鼓の音が、静かな波の音に交じって
魂にお礼を言うかのように遠くで鳴り響いていた
北斗七星とカシオペア座は、私に夏の空を楽しませてくれた
遅くなって、オリオン座が東の空低くに顔を出す
一つ星が、薄い羽衣を着た三日月に寄り添い
優しく語り合っているかのように、曙の空に浮かんできた
2001.8.18,YS