2011年8月16日火曜日

刀は一度出来たら再度焼きはいれれない

近所の物知り友といろいろな話しに華が咲いた。

 雑木とは、水甕は、水の再利用、包丁、刀鍛冶と鍛冶屋、大国柱の取り方、木の乾燥法・・・

雑木とは、落葉樹の一般的な呼び方であるという。

 水甕は、中国ではある石の粒を粘土に混ぜてつくる。その石は僅かな放射線を出している。中国ではボーンチャイナといって軽いのが特徴。名前の通り粘土に骨を混ぜて軽くしているという。これは唐時代からの技術で、1トンのものが700kとなればそれだけ船にたくさんの陶器が積めるというわけである。

 水は出来るだけ雨水などもため、植木にやっている。

鉞(まさかり)や斧、鉈との違い。両刃の使い方と片刃の使い方〜。
刀鍛冶屋は農機具は作れない。刀は真っ直ぐ打つだけであるが農機具や包丁はいろんな構造をしているので器用でなければできない。農機具は再利用できるが刀は折れたらもう使えない。農機具の修理はビスや溶接機での修理ではなく継ぎ足しなどをしている。
刀や刃物は一気にあある工程まで作り上げねば使い物にならない。出来たものを再度焼き直すと云うことはできない。ベアリングにする鉄は30年寝かせた鉄を使うそうである。30年ほどでもまだ熱を出しているという。なんたることか!

 鉈は割るためのものであり、その刃先の角度もいろいろ使いが手で違えている。一般的に鉞や斧、鉈はハマグリ型で食い込んでも取れやすくなっている。刀も同じハマグリ型で、刃が折れにくくなっていて柱などに食い込んでもすぐに取れる。鉞で木を切り倒すときに木に食い込んでしまったら仕事にならないのでハマグリ型になっているというのである。そう言われるとシャープな刃先にはなっていない。鉈でも片刃は削るもので一方が鋼になっている。

 刺身包丁などは逆で鋭い刃になっている。この角度も板前さんの好みで注文しているという。私の使っている手作りのヤスリナイフも研ぎ方で使い勝手が違い、もうその形も自分なりに研いでいて使いやすいナイフになっている。もう1979年2月からの愛用のナイフである。

 大黒柱は、木の太さを見て丸太一本でつくる。太い木を裂いて4本を取るなどはまずしない。欅の大黒柱は貴重であるがそれは芯を中心にした丸太を四角に切り出す。いくら大きいからと云って4本取ることはしない。板にする場合はそうではない。欅は捩れたりして重さを支えられない。

 木は森では炭酸ガスを吸って酸素を出しているが、伐った木は枯れて炭酸ガスを出して堅くなっていく。締め切った材木部屋はすぐに入ってはいけない。酸素が薄くなっていて窒息してしまう場合がある。

 雑木は長年寝かして辺材を腐らせ芯材として使う。そうしないと木は長持ちしない。
「流木は芯だけになっているけどそのようにして出来た芯材と最初から芯材を使った場合どちらが強いですかね?箸にその流木の芯材を使ったらどうだろうかと最近考えているところで、訪ねてみた。」「それは試すしかないね。わしは分からん」



 ベアリングに技術、鍛冶屋の技術、水の腐らない甕、木の使い方などに単なる技術として見過ごすわけにいかない、すばらしい技術がそれぞれに秘められている

 さて箸!単なる箸であるが、そのような箸に関しての秘められた技術なるものが存在するのであろうかと、話しを聞きながら考えさせられた。それが分かるにはたくさんの箸を作ってみるしかないのであろう〜。

箸の持ち方

いい話をもらった


 箸の持ち方はいろいろな持ち方がある。その善し悪しは別として、今日近所の方に、タラの木を貰うと云う約束をしていた、以前に伐っていたタラの木で作った箸をプレゼントに持っていった。

 「タラは、成長が速く木はどちらかというと柔らかく鎌で切りとると言うくらいで箸になるとは驚きだね」上げた箸を手にしながらさらに「良い箸だね。タラがこんなになるとは驚いた」とビックリされていた。畑に沢山あるから秋になったら差し上げますよ。庭先には鉢に植わったタラの木が若芽をだしていた。「盆栽風にも良いですね」「いやこれは鉢そこからここにも芽を出しているんですよ」1m程離れた石垣の脇から同じくらいの1m50cm位のタラの木が伸びていた。「根でどんどん増えてきて困るくらいだよ」

 「わたしは子供の頃から親父に言われていて、箸は長くこう持つんですよ。」長く持つと聞いて”長い箸が良いのかな”と思っていると、箸を持ちながらその様子を見せて頂いた(写真参照)」写真のように持ったとき箸の頭が全く出ていないのである。「なぜです?」どんな箸でも短いなりに長く使うというのである。「長く使うことにより親と長く生きていける」というのである。「どこのいわれですか?」「わしは栃木です」と。

 箸の使い方でこのようなしきたりがあるとは驚いたと同時に、珍しい風習を聞かされて箸を作っていて嬉しくもなった。



箸の頭が全く出て無く、食い込んでいるほどである。
栃木県の風習