2011年7月2日土曜日

ナイフの刃こぼれ


 昨日戴いた弓用の竹で箸を作った。何本かその竹で削っていたが何となくナイフの切れが落ちているのを感じた。よく見ると木肌が荒れている。ナイフの刃を拡大してみると明らかにボロボロと刃こぼれしていた。
 弓の竹が堅いことを教えている。いままでも孟宗や真竹を削っていたがこんなにまでも刃こぼれしたことはなかった。これが選別された宮崎の竹なのであろうかと知らされた。

 箸として使用した場合の結果はどうなるか?



 また、自作ナイフ材質で、刃こぼれしたのは、目立てヤスリである。鋏で作ったナイフ刃刃こぼれはしていない。


ヤスリで作ったナイフの刃こぼれ

鋏で作ったナイフ。刃こぼれがない!




2011年7月1日金曜日

弓の箸

今日の新聞折り込みにの伊勢原市体育協会の新聞があり目を通していたら、弓具店や武道具店の広告が出ていた。
 ふと弓、竹刀の折れたものなどが店にないだろうかとおもい、早速住所から地図を調べて尋ねた。

 最初に弓具店を目指した。すぐに見つかった。

 玄関の大きな昔風の扉からお年寄りが座して仕事されている姿が見えた。がらがらとガラス木戸を開けて中に入った。

 ごめんください。あの、弓と全く関係ないのですが私趣味でお箸を作っているんですが、もし折れた弓があればと、この新聞を見てきたんですが、と挨拶した。何も言わずに、待ってください、裏にあるからと、ゆっくりした仕草で仕事場から降りて私が入ってきたガラス戸から出て行かれた。4,5間はあるだろうか、全部がガラス入りの木戸である。カーテンがほとんど下がっていて真ん中付近だけのカーテンが開いていた。

 待っている間に店内と言うほどではないが、周囲の壁に立てかけてある弓を見た。数万円もするものがずらりと立て並んでいた。漆仕上げのものは逆に五分の一、四分の一と安かった。そう言えば蕎麦の捏ね鉢も漆塗り?は1万円台だったが無垢の木捏くったったのは四,五万円していた。弓も全部が竹でできているものが高価であった。
 よく見ると、裏表が竹で間が木で出来ているように見えた。そうか、弓は竹とハゼの木を合わせてあるとネットで見たことを思い出した。きれいな仕上げである。

 すぐに戻って見えた。3m位はあるだろうかと思える長い竹を2本持って、竹の厚みは決まっているからこれ位の厚みしかないねと、長い上がり口に置きながら説明された。自転車で来ていたので、こんな長いものは持って帰れない。何とか短く切らねばと。

 気になっていたハゼの木のことを聞いてみた。淵の方にハゼを使うね。何故使うのか、何故ハゼの木なのかは明確に答えが得られなかった。隅の方に何に使うか分からないが、弓の一部を切った治具があった。その竹の切り口を見ると、上下の竹の間に5mm角ほどの三本の竹が挟んでありその両側がハゼの木であった。


弓の竹は宮崎産

 竹はどこの竹ですか。宮崎の竹で、しなりがあると言うことでここのは良いと云われている。そんなわけで宮崎は弓をつくる店が多く全国のほとんどが宮崎だね。柔らかくても堅すぎても駄目。と、職人さんらしい説明である。竹は切り出すときから布で包むという。傷が付いたら商品価値が無くなるからね。そうなんですか、竹藪から大切に切り出されるんですね。なるほど高価な弓であると思った。
 たしか、伊勢原の凧も宮崎の竹だと聞き居ていましたけど。そうだね、もうその人は亡くなったね。凧もやはり粘りが必要ですね。おとなしそうな主人は口数が少なかった。この店は弓をつくるのではなく弓矢をつくるところである。二代目で80年ほど立つそうである。もう来年で店を閉める。え、勿体ないですね。息子さんはなさらないのですか。いやと言っているしね、仕方なくあきらめた、手を休めることなく力ない応えが返ってきた。

 奥の方には火鉢があった。手元にはガスのバーナーがあった。竹を温め矢だけを強制するためのものである。良いバーナーですね。これは専用ではなく改良したものだよ。どうも焼き鳥用のバーナーのようで5〜6cm巾の長さ30cm位の大きさで表面は網が掛かっていた。網の下はたくさんの穴の開いたパイプが通っているのであろうと構造を想像した。これで炭火のように全体が均一の火力なるようになっている。わたしもガスコンロで曲がりを強制することがあるんですが、ガスでは焦がすんですよね。これ良いですね。七輪を買って炭火でやったんですが、ガス警報器が度々鳴ってもう使えませんね。私も欲しくなった。古めかしい棚の上の方にもう一台同じものが置いてあった。

矢竹の入手先
 矢竹はどこから仕入れられるんですか?昔は大山、日向で仕入れていたけど、ゴルフ場が出来て伊勢原には無くなったね。どことは口にされなかったが確かめることもしなかった。昔は農家の方が手間に伐っていました。隅には一抱えほどの乾燥した矢竹が束になって数束立てかけてあった。竹は何年くらい乾燥するんですか。1年だね。と聞いてちょっと驚いた。矢だけで細いからそれくらいで良いのだろうか。1年でよいと言われるのでそれで良いわけだ。

矢の構造
 修理の矢がたくさん座している横に束にして置いてあった。矢の羽はすり減っている。なぜか四本ずつがまとめられている。四本ずつまとまっているようですが何故ですかと聞いてみた。試合は四本使うから、と。長さはいろいろ違うんですか。矢の長さと重さは人によって違うが、羽の長さは決まっている。そうなんですか。羽は鷲の羽で中国から輸入している。羽を取るために布に巻かれた糸を解きまた四本にまとめられた。糸は布のようにきれいに巻かれている。絹糸で細い。これが重ならないようにするには気が遠くなりますね。針金などを巻くときがあるんですがそれでも大変ですしね。重なると目立つからね。
 糸は市販されているよく見る厚紙に巻いてある糸であった。これはどこで買われるんですか?和服の店だけど最近は置いている店が少なくなったね、店(うち)の方がたくさんあるくらいだね。最初に糸に何か染みこまされているんですか?いいや、巻き終えてからボンドで固めるという。

矢竹の表面は皮が剥かれているようですが、どのようにするんですか?一本一本削り出す。よく見ると節の部分は矢竹で凹凸は少ない竹であるにしても更に節は平らになっているし表面は薄く一皮剥がれていた。どれだけの厚みが剥ぎ取られるのか知りたいところであった。

小さな箱形作業台にはサイズの違った長く使ったナイフが数本あった。見せて頂いて良いですかと手にとって見せてもらった。すばらしい刃が付いていた。失礼ですがご自分で研がれるんですか?そうだね、ナイフが研げねば職人ではない。なかなか自分に合ったナイフには出会わせないね。


 済みませんが、自転車で来ていますので竹を切りたいのですが〜と訪ねた。すぐに立って奥の棚に置かれていた鋸を貸してくださった。金切り鋸のようなU型のものであった。何とよく見ると刃はかしめ固定されていた。早々に切った。刃が薄く竹にすぐに食い込んだ。何とか三つに切った。これ時計のゼンマイで作ってあるようですね。そう、もう刃を研いでくれる職人が居なくなってね。何度も目立てされ使いつくされている。刃は全体が中央部分が凹に凹んでいた。さらに固定は何度かされているようで片方が刃を替えた跡が残っていた。弓の糸は麻と化繊が捩ってあるという。その先は独特の輪が作ってあった。昔は麻だけで作られていたが良い麻が無くなり化繊を入れ込むようになったという。

 お父さん薬飲んだ?奥の方へ立って行かれた。私は箸を作っていまして竹を頂く相談に来ました。箸ですか、箸は友達から沢山お土産にもらっています。蕎麦用の箸とか〜塗り箸などは落ちて掴みにくいしね。箸は自分に合ったものが一番だねと〜。

 すり減った二列数段の小物入れ整理タンスが年輪を見せていた。もう使っていないだろうか柱には握力計のような錆びた秤がぶら下がっていた。

 丁寧にお礼を言って店を出た。次の店を訪ねたが、竹刀を作る店ではなさそうで、60歳くらいのおじさんは休憩中だったので玄関を叩くのは辞め帰宅した。



早々に箸を作る
 竹は全体が箸に使えるほどの厚みはなかったが一部を切り鉈で割った。今までにないような割れで、鉈の刃を少し入れるだけで、パッと気持ちよく割れた。ちょっと鉈の位置が来るってしまい薄く割れそうになった。その分短くなったが何とか使えた。二膳ができた。
箸の先の方は薄皮を剥いた箸にした。黄土色で清潔感のある箸である。

 材質の出所がはっきりしている箸。こんな箸が良いな〜。何処かに書いたが、イチロウ選手の折れたバットで作ってみたい〜。



2011年6月30日木曜日

柊、バラ、一位、他の箸



1.柊ーーー枝 ◎
  真っ直ぐに伸びる性質があり、まず箸にし易い。堅く粘りのある木である。


2.バラーーー幹 ◎
  直径3cm程の幹。20年くらい経ったところで昨年枯れてしまったので伐っていた。つるバラである。風雨にさらされていたが皮は剥がれることなくしっかり付いている。

 さすがバラ科の本家、堅い。中心には5mm位の直径の柔らかい芯がある。
 縦方向にきれいに割れる。従ってこれ位の直径になると、二膳が取れる。

 杢がきれいである。真があるところや割れ方、杢の模様などはアオキによく似ている。
オスもカラーを塗ったところ、焦げ茶色の光沢のある木肌になった。それもまた素敵である。


3.一位ーーー枝 ○
 白い光沢のある木肌である。細い枝。やや柔らかく削りやすい。
湿式研磨したところ曲がってしまった。枝だとどうして曲がる傾向がある。



4.ドウダンツツジのような木 ◎◎
  真っ直ぐに伸びる性質のある木である。木の皮も薄く剥離しにくいようである。材料は一膳分しかないので、箸の特性ははっきりつかめないが、非常に緻密な木肌をしている。皮を一部残したが自然美がある。


     いずれも良い木である。特に4はすばらしい。緻密さというのも箸としての必要な条件であろう。


    2011年6月26日日曜日

    サルスベリの箸


     昨年10月に近所からもらっていたサルスベリをカットした。まだ箸にはしていなく、荒削りの状態である。


    1. 堅く粘りがある
    2. 虫が食ってあちこちに虫孔!
    3. 立て割れはあまり良くない
    4. 木は全体的にまっすぐである

    木はこれだけしかなく、また準備しておかねば〜きっと良い材の箸になりそうである。




    水琴窟大展覧会

    成田山書道美術館にて開催

    主催:NPO法人 日本水琴窟フォーラム
    20011年6月24日〜26日

     6月25日にお手伝いに行ってきた。25日は土曜日でもあって多くの方が見えられた。小田急鶴巻温泉から新宿>日暮里>京成成田・・歩・・>会場。

    京成成田駅から会場まで徒歩(緑線)


     会場は数々の瓶、古い水甕や壺、アイデアで作った壺、水琴窟専用に作ったセメント瓶などが展示されまた各地の庭蹲いの水琴窟の写真展、世界の水琴窟写真展、水琴窟の科学的説明など。いくつかの瓶は室内でも楽しめるようになっていて体験できた。室内は水琴窟の音が香と共に流れていた。

     私の家にも作ってみたい、チャレンジしてみます、また庭師さんなどが勉強にも見えた。土質工学の専門家からの質問もあり、説明に苦慮もした。また、最近東南アジアの雨粒が非常に大きくなってきているという話しも聞け、その現象を水琴窟に利用できないかなど夢の水琴窟の話しもすることができた。
     「瓶を埋けたときにその周囲にぐり石を入れるというのが通説になっているが、それは必要ないね」、とい言う経験者。「瓶が振動しているからぐり石で振動を殺さないようにしなければならないとは信じられませんね」。またその全く反対の経験者もあった。





     家から4時間弱の移動でしたが、成田山の門前町がおもしろかったですね。京成成田駅から歩いて行ったのですが、古い町並みで竹細工の店、蕎麦屋、近代的な箸の店、金物屋、門前の出店などついつい寄り道しました。
     また手打ち蕎麦もやっていてお昼はここまで来て摂った。帰りは山手線で人身事故があり遠回りしての帰宅となりました。