2011年1月21日金曜日

一年計砂時計と砂時計の時間

20日川崎市計量協会の初春講演会で、タイトルの表題で講演しました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


川崎市計量協会初春講演会
平成23120
講演者:(元)仁摩サンドミュージアム客員研究員
志波靖麿


一年計砂時計と砂時計の時間

1.    なぜ一年計砂時計を
島根県大田市(旧邇摩郡)仁摩町仁万。仁摩町は〜。
1987年竹下登内閣のふるさと創生事業の1億円。
1991(平成3)年11日零時スタート。
仁摩サンドミュージアムとして平成333日オープン
床から13.55mの頭上にある。リングに挟まれ大晦日に180°
回転され新年を迎える。

 ※このアングルでは見れません。梁に登って撮った角度です
建物サイズと砂時計の配置

2.    大きな砂時計
一般的な市販砂時計は1分、3分、5分、10分計などですが〜
(1)      仙台1週間計 仙台市役所。鳥取砂丘と仙台湾121kg
(2)の実験機として作られた。
(2)      仙台市 仙台市制100周年1989年、80日計
    ゴビ砂漠1,200kg
(3)      ミー・ジェーン 1999.4.2新宿東口アルタビル
    9時間計、10リットル茄子型
(4)      大阪駅 2003.4.23。アクティ大阪の開業記念。
    1時間計自動回転。2010.11撤去
(5)      マインツ
旧西ドイツ。ショット社創立100年周年記念。自動回転
(6)      韓国江陵市
21
世紀に向けた観光イベント。8トン砂、リング直径8.03m、幅3.2m、1年計。
(7)      10時間計。実験装置。仁摩サンドミュージアムに展示。稼働中。
(8)      9時間計。実験装置。仁摩サンドミュージアムに展示。
(9)      その他9時間計など自立型

3.    時間と時刻
  ・時間:時と時の間。まさしく砂時計の時間
  ・時刻:そのとき。日時計、天体の動き

鳴らない砂の音波形(上)と
その音のスペクトル

不規則の波形で、スペクトルは多くの
音が出ていることを示している。
4.    一年計砂時計のコンセプト
琴ヶ浜の鳴り砂の保護。








鳴り砂とは
  −1)性質

a. 
成分:自然界では石英質に富んだ砂。
b. 粒子径:平均径で250ミクロン〜340ミクロン程度
c. 粒度分布:d75/d25=0.70~0.85
研磨材——56#=0.84  1200#=0.73
d. 粒子形状:角が丸みを帯びまたは全体的に丸みがある。
e. 音の波形:(鳴らない砂と鳴り砂の相違)
f. 汚染:油など、微塵など
  −2)全国の鳴り砂
   日本では海岸線に201カ所存在するが、鳴らなくなった浜もある。鳴る浜は150カ所ほど。
  −3)どんなところに存在するか
   湾岸で砂の出入りのない浜。海底の地形の砂を逃がさない構造である必要がある。
鳴り砂の音波形(上)と
その音のスペクトル

規則的な波形で、倍音構造のスペクトルである。
鳴り砂の特徴である。
  −4)沙漠にも存在する
   中国敦煌の鳴沙山が有名である。乾式表面研磨で、海浜砂に比べて非常に丸みを帯びている。
5.    一年計砂時計の研究
(1)   
理論値−>1365日、で1トン。114.155g/hr。閏年は?

(2)   砂の選定:孔と砂直径の関係
・孔径>6×粒子径、砂の表面状態で変わる。
(3)   ノズル(蜂の腰)の決定
・孔の形状:I型、H型、C型、X
・上下の形状精度
(4)   完璧な閉塞しない砂つくり
・粒度の精製:篩網の選定(網目サイズのばらつきの少ない網)
・砂の流動性:粒子形状
・異物ゼロ:粗大粒子、木屑、塵・・・

・砂および砂時計内の湿度

(5)   時間精度の研究
・粒度分布:偏析流

・湿度や気圧、温度変化

6.    砂の流れ
    (1)粉体層高は影響するか?
(2)密閉容器の影響
(3)砂の表面
  ・表面の微粒子:コロの役目。しかし埃となる!

  ・摩擦係数の影響:砂の洗浄について 良く洗いたい、しかし〜
一年計砂時計の容器の形状と寸法
旧西ドイツのショット社製である
7.    一年計の流れ:圧力制御。
・自然状態では、流れは不安定
   砂時計内部の空気の膨張収縮が激しい

・館内冷暖房フードからの、ON/OFFによる風圧の影響
・入館者の出入りによるドアー開閉による管内圧力の変動
8.    一年計の時間誤差
・平成3年(1991年)から、自然な流れ(自動制御を含む)での
             正確な一年計落下時間は取れていない。新幹線が東京から博多
    まで走るのに途中雨などで遅れた際、マニュアル制動で時間調
   整すると同じように時間調整をしている。
 
質問
1)精度は?
 ・自動制御しているが、20年間正確な一年で終わっていない。途中で流量調整をしている。1ヶ月も速く落ちそうになったときがあった。当初は途中で止まってしまった年が何度か続きました。


2)粉体工学の学問はどんな状況にあるのでしょうか?
 ・まだ経験工学が多きのではないでしょうか。


3)3分計など小さな砂と計も温度の影響はあるのでしょうか?
 ・あると思います。それはストップウォッチを押タイミングの誤差程度かも知れません。1分計で+/-1秒で作っているそうです。砂鉄を使うと10分計などでも精度良くなります。手作りですので上下方向の差もでてきますね。


4)砂はどんな砂ですか?
 ・工業用鋳物砂を水で洗浄して粒度調整・精製したものです。非常に揃った形状をしています。(お回しした写真の通りです)


5)鳴り砂は全国でどれくらいあるんですか?
 ・201ヶ所が文献の情報を含めてあります。その内鳴らなくなった浜が60ヶ所ほどはあるでしょう。


6)日本全国を行脚しています。その地図を頂けませんか?
 ・どうぞ。新しいところが発見されましたらその情報を頂けるとうれしいです。
   ===>はい、協会の方にご報告します。









※ 砂とは2mm~0.075mm
冷蔵庫などに置いて温度平衡
になるまで待って時間を計った。

温度が低いとなぜ速く流れる?
 この下限サイズからそろそろ流動性が悪くなる。砂とは俗に、サラサラ流れるものであると云う。大きくなるとゴロゴロ、細かくなるとボソボソと云う感覚である。



以上

0 件のコメント:

コメントを投稿